復興支援活動紹介(13)見守り観音堂建立の会

2014.04.22

20140422-2東日本大震災によって犠牲となられた2万人近い方がたをお祀りする供養堂として「見守り観音堂」を建立する動きが全国に広がっています。

宮城県石巻市の洞仙寺は震災により本堂、庫裡が全壊してしまいましたが、倒壊した本堂からほとんど無傷の状態で観音さまが見つかりました。この観音さまを慰霊と復興の象徴としてお迎えし心の拠り所とすべく、お堂建立のために取り組んでいる、曹洞宗特派布教師であり長野県蕃松院住職である、増田友厚さんにお話しを伺いました。

「見守り観音堂建立の会」発足のきっかけについて伺います。

20140422-4――東日本大震災発生後、支援物資の募集や現地への運搬、美容師会の避難所訪問のコーディネート、募金活動等の支援活動を行う中で、様ざまなことを学んできました。

その中で、震災から時間が経過すると建築、土木等の復旧はある程度進むものの、犠牲者遺族の悲しみは深くつらいままであり、「心の格差」は広がっていると実感しました。そこで、ともに活動した支援者達と「物資の提供ではない、息の永い支援はできないだろうか。」と模索してきたのですが、具体的な案が思いつかないまま1年半の月日が流れました。そんな時に出会ったのが、石巻洞仙寺の「奇蹟の観音さま」だったのです。この観音さまは津波被害を受けたにもかかわらず、ほとんど無傷で、倒壊した本堂の梁の上で、目の前に広がる村と海の惨状を見守っておられたことから「奇蹟の観音さま」と呼ばれたそうです。

この観音さまに出会った時、観音さまを本尊として頂き、この地に東日本大震災の犠牲者2万人を供養するための、観音堂を建立したいと支援者みんなで誓願しました。そのことがきっかけとなり、「祈り」、「希望」、「縁」をコンセプトとした「見守り観音堂建立の会」が2013年2月に発足したのです。

 

最初は60人で発足したそうですね。

――震災後、ともに支援活動を行っていた方がこの60人で、今は事務局をしていただいております。会が発足した年の8月26日、「観音堂を建立するため、全国の方がたから浄財を集めよう。」という集会を蕃松院で行った時には900人もの方が集まり、お寺に入りきれない程でした。その時には、6代目三遊亭円楽師匠も応援に駆け付けてくださいました。

その後、事務局スタッフの友人や家族、そしてまたその友人へと縁が縁を生み、北海道から九州まで支援の輪が広がり、今では7千人の方が賛同してくれています。

 

浜辺の石を「浄石さん」として集め、観音堂の周りに奉納すると伺いました。

20140422-1――東日本大震災の津波はたくさんの人や、家を飲み込みました。浜辺の石さんはその中で、犠牲者の必死で生きようとした悲痛な叫びや最期のメッセージを聞いていたに違いない、その思いを後世まで伝えたいと考えました。また、一つひとつの石を犠牲になられた一人ひとりの「御いのち」になぞらえ、観音さまの元へお運びしご冥福を祈りたいとの願いから、その浜で亡くなった方と同数の石をいただき「浄石さん」として持ち帰ります。そして、全ての浄石に写経をし、観音さまの御傍に奉納させていただきます。

青森県から千葉県の各浜を行脚するのですが、それぞれの浜において犠牲になられた方の数、約2万個の浄石を観音堂に奉納したいと考えております。今年の3月6日~7日にかけて、1回目の慰霊行脚を石巻と女川で行い、浄石を拝集させていただきました。今回の行脚が観音堂建立への第一歩だと思っています。今後の予定ですが、7月22日~23日には南三陸町~気仙沼市~大船渡市。9月28日~29日は仙台~南相馬市と行脚し浜供養する予定です。

 

多くの方がたに賛同いただいているこの活動ですが、活動を通して感じることはありますか。

――この活動を始めた当初、ある住職さんは、檀信徒に「遠くのこともいいけども、もっと身近なことに取り組みましょう。」と囁かれたそうです。でも、だんだん協賛の輪が広がるにつれて、支援活動の大切さを理解され、いつも支えてくださっているそうです。遠い被災地を思う取り組みのようでも、実は、同時に私達の身近な人の心を、互いに耕しあっていく営みなのだなと教えられました。

また、賛同していただいている方の中には、曹洞宗の僧侶はもとより、他宗派の僧侶や神主さん、牧師さんと広がり、宗派や宗教の垣根を超えた活動になってきております。

20140422-3「何か力になりたい。」とご賛同くださったみなさんの想いを大切にして観音堂を建立し、完成後も多くの人びとと参拝し被災地を巡り、地元の方がたと多様な触れ合いを重ねたいですね。

津波を被りながらも人びとを見守り続けた観音さまは、被災各地で拝集された「浄石」とともにご遺族と地域の方がたを守り励まし、大震災の悲惨さを伝えていくことでしょう。

現在、平成27年の建立を目指して活動を続けています。その詳細等につきましては、同会事務局にお問い合わせいただくか、同会のホームページよりご覧ください。

 

見守り観音堂建立の会事務局
住所:長野県佐久市平賀5064 TEL:0267-82-6183 0267-88-7182

見守り観音堂建立の会ホームページ
http://mimamorikannon.wix.com/info#!untitled/clyg

見守り観音堂建立の会ツイッター
https://mobile.twitter.com/mimamorikannon