令和5年 年頭の挨拶「手を把って共に行く-把手共行(はしゅきょうこう)」
2023.01.01
宗務庁より
明けましておめでとうございます。輝かしい新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
大本山總持寺では、除夜の鐘と共に大勢の参詣者をお迎えし、共に新年を迎えることができました。
除夜の鐘から早朝にかけてのお詣りは、若い方々が圧倒的に多いのですが、日中の陽ざしが立ち込める時間になりますと、中高年のご夫妻やお年寄りと一緒のご家族が目立ちます。手を把ってのお参りであり、「把手共行」の姿です。
四国遍路や西国巡礼をされる旅人は、たとえ一人であっても「同行二人(どうぎょうににん)」と笠に記して歩きます。
自分以外の一人は、観音さまであり師の場合もあるでしょうし、家族や友人と共に、影と形のようにより添って歩んでまいります。
本山での参拝風景は、若い方々も中高年のご夫妻も、お年寄りと一緒の家族も、こころとこころがつなぎあっているお姿と見受けるのです。人間と人間だけが「手を把って共に行く」というだけではなく、ほとけと人間、ほとけとほとけが、ともに手をとりあってお参りをしている、そんな光景なのです。
その光景は、横に並んで歩くときもありますし、前後になりあうときもあります。手を把って共に歩く相手は、苦悩にあえいでいる自我の心の奥底に沈んでいるもう一人の自分であることもあります。
このもう一人の自分にめざめていくことが、禅仏教の教えです。それは、礼拜の行願からさずかる信心なのです。新年に当って、ともに手をとりあって、行願に生きる自分にめざめたいものです。
曹洞宗管長 石附周行
MP3形式での再生
(再生しない場合、 ここを右クリックでダウンロード後視聴ください)
ラジオNIKKEI 2023.1.1 放送 「声の年賀」より