第20回梅花流千葉県奉詠記念大会が開催されました。
平成30年10月19日(金)に、木更津市のかずさアカデミアホールに於いて、第20回梅花流千葉県奉詠記念大会が開催されました。
千葉県は300ヶ寺を超える宗門寺院がありますが、梅花講設置は70ヶ寺と少なく、その中でも活動を継続している講は年々減少しているという状態が続いています。
そこで、今回は県内全寺院に案内を出し、梅花講員ではない方の参加も呼びかけました。その結果、護持会の役員や一般檀信徒など、270名を超える方々の申込みがあり、通常女性が殆どを占める大会会場は、ほぼ男女半々という珍しい光景となりました。梅花講のない寺院からの参加者も多く、全体で約550名が参集しました。
開会式と記念式典(永年表彰)に続き、午前の部では、一般の方にもわかり易いように梅花流を届けようと「朗読と御詠歌で綴るお釈迦さまのご生涯」という催しが展開されました。多摩美術大学の宮いつき教授(日本画家)が作画された絵本『おしゃかさま』(教育社 1987年)のイラストをスクリーンに投影して、誕生から入滅までの朗読劇を行い、合間に三仏忌のご詠歌を独詠する創作的なステージが繰り広げられました。朗読劇終了後、宮いつき教授が登壇するというサプライズがあり、この絵本がつくられたいわれと、曹洞宗と宮教授のご縁をインタビュー形式でお伺いしました。
登壇奉詠は記念大会の為時間短縮の意味もあり、千葉県では初めての合同登壇となりました。260人の講員を3グループに分け、課題曲としてそれぞれが三仏忌の御和讃を唱えました。1登壇90人弱のハーモニーが会場の感動を生んでいました。
午後の部は駒沢女子大学の千葉公慈教授(千葉県宝林寺住職)が「み法の道を歩む―釈尊・道元禅師・そして今―」と題して記念講演を行ないました。その後は柳亭芝樂師匠の落語、ねづっちの漫談、桂文治師匠の落語という梅花寄席の時間となり、会場は大爆笑の連続で盛り上がりました。
「まごころに生きる」の大合唱でのフィナーレで、大会は幕を下ろしました。この大会に触れ、私も御詠歌やってみたい!ぜひうちのお寺にも梅花講を!という思いを抱いてくれた方もいたことと思います。
今回の千葉県宗務所の企画は、講員減少に直面している中でのひとつの試みでした。
一般の方への布教には、梅花流の場合は実際にお唱えを聴かせて、その響きに心を動かしてもらうのが最も効果的です。そのためには、お楽しみの時間を設けて、梅花講員以外のお客様を呼び込むことも大切と感じました。
赤間秀弘梅花主事は「今記念大会は檀信徒のみならず、ひろく一般の方にも見にきていただきたい企画にできた。告知に労力をかけられなかったのが残念」と、手応えを語ってくれました。
多くの場合、どの地域の奉詠大会も梅花講員による梅花講員のための催しになっています。経費や客席等の都合により、梅花講員以外の方を呼び込むのは難しいという事情があるかもしれません。しかし、大型スクリーンを活用し動画やタイトルを映し出し「聴かせて魅せる」という今回の大会主旨は、梅花流の魅力や楽しさを伝えるという点で良い参考例となると思いました。
大会関係者の思いと努力が実った、素晴らしい大会でした。
(詠道課発)