全日本仏教会財団創立60周年記念事業への参加報告
曹洞宗も加盟する財団法人 全日本仏教会(全日仏)は、平成29年10月13日、福島県郡山市の「ホテルハマツ」を会場に財団創立60周年記念式典を、また翌14日には、同じく郡山市の「ビッグパレットふくしま」にて全日本仏教徒会議 福島大会を開催しました。
全日仏は、これらのイベントを伝統仏教教団の社会的意義を広く発信する機縁としており、加盟仏教教団の代表者を中心に宗派を超えた代表者を招き、約500人が参加する盛大なイベントとなりました。宗門関係者も県内外より大勢出席しており、曹洞宗宗務庁からは釜田隆文宗務総長、河村松雄総務部長、橋本壽幸財政部長が出席し、式典に祝意を示しました。また宗務庁からは出版部頒布課が両会場にてブースを出展しました。
財団創立60周年記念式典
全日仏は昭和32年に財団法人の認可を受けてから、本年、財団創立60周年を迎えました。現代の社会問題に対して仏教が果たす役割を再認識しながら、未来に向けた活動をより一層展開するための節目として、この式典が位置付けられました。
10月13日、午後2時より記念式典が始まると、各教団・関係者の代表が入場。釜田宗務総長、大本山永平寺・大本山總持寺各代表のほか多数の宗門関係者も舞台に登壇しました。
代表者が位に着き終わると、中西玄禮 全日仏副会長(浄土宗西山禅林派)が開会のあいさつを行い、式典の開始を高らかに宣言されました。
つづいて財団創立60周年記念式典中、被災物故者追悼・関係物故者追悼・被災地復興祈願法要が執り行われました。小峰一允 全日仏会長(真言宗智山派)の導師のもと、真言宗智山派の僧侶が職衆となり読経が行われ、全日仏の関係者並びに近年の自然災害で被災された物故者への追悼と、未来に向けた復興が祈願されました。
つぎに、主催者を代表して石上智康 全日仏理事長(浄土真宗本願寺派)があいさつを行い、過疎などの社会問題に触れ、「ご縁をかたちに、絆を行動に」というスローガンのもと、仏教の智慧を活かして、被災者に寄り添い、ともに未来に歩みを進めてまいりましょう、と述べられました。
つぎに来賓挨拶に移り、地元より品川萬里 郡山市長の挨拶のほか、WFB(世界仏教徒連盟)や日本宗教連盟より各々代表者があいさつを行いました。
最後に、篠原法傳 全日仏副会長(兵庫県仏教会)より謝辞が述べられて式典が終了しました。
休憩をはさみ、記念講演に移り、作家で臨済宗妙心寺派 福島県福聚寺の住職である玄侑宗久師が、「無常と『あはれ』」と題して講演を行いました。玄侑師は、東日本大震災における地元福島県の当時の状況やその後の復興に触れ、日本人に特有の「無常」観や「もののあはれ」といった思想が仏教にもとづいたものであり、混迷の続く社会の中にあって、このような日本に根付いた仏教思想が果たす役割や仏教者の実践を提言しました。
記念講演後には懇親会が開かれ、加盟団体からの参加者や式典出席者らが懇親を深めて、宗教界の相互の絆を確認して、交流を行いました。
第44回全日本仏教徒会議福島大会
「全日本仏教徒会議」は、昭和28年に第1回高野山大会が開催され、その後も仏教文化の宣揚と世界平和の進展に寄与することを目的に、毎回趣向を凝らしながら開催されています。今回は、東日本大震災被災地である福島県で開催し、東日本大震災7回忌・阪神淡路大震災23回忌の節目をともに祈りながら、全国の方に仏教を親しんでもらうことが目指されました。
10月14日、8時半より開場となった「ビッグパレットふくしま」には、宗教者ならびに一般参加者、約2千人の来場者がありました。
9時半より復興記念法要となり、真言宗智山派の御詠歌「同行和讃」が奉詠される中、法要の導師を務める小峰一允 全日仏会長が舞台に登壇されました。
法要は真言宗智山派と真言宗豊山派の僧侶が共同で執り行いました。般若心経の読経では、迫力のある豊山太鼓が披露される中、参加者も読経に加わり、会場は宗教的な一体感に包まれました。その後は智山派の僧侶が読経を行い、東日本大震災ならびに阪神淡路大震災の被災物故者への追悼と復興への祈りが捧げられました。
法要後は休憩をはさんで、ゲスト歌手・加藤登紀子さんより「お話と歌」が披露されました。これに先立ち、石上智康 全日仏理事長より主催者挨拶があり、スローガン「ご縁をかたちに、絆を行動に ―私からはじまる―」が紹介され、本大会の主旨が述べられました。
加藤登紀子さんのステージは、代表曲「百万本のバラ」から始まり、新旧交えた選曲で素晴らしい歌声が披露されました。
ステージが終わると休憩をはさみ、閉会行事として式典が行われました。
はじめに久喜和裕 全日仏事務総長(曹洞宗)より挨拶があり、本大会を開催するにあたり協力いただいた関係各位への感謝が述べられました。つづいて開催地を代表して福島県仏教会 玉木芳宗 会長より、地元を代表して大会開催への感謝の意が述べられました。
つぎに、伊東寂俊 大会宣言起草委員長より大会を総括する宣言が述べられました。
つづいて、次期開催地の発表があり、第45回全日本仏教徒会議が島根県で開催されることが報告され、久喜事務総長より島根県の代表者に対して大会旗の受け渡しが行われました。
最後に、次期開催地を代表し、清水谷善圭 島根県仏教会会長より、島根県の紹介と開催への意気込みが述べられ、本大会は成功裡に閉会となりました。