曹洞宗の修行

曹洞宗では、日常の生活を、自分自身を活かす修行と捉え、感謝と喜びの心で、一日一日を丁寧に生きることを大切にしています。
そのため、挨拶、掃除、調理、食事、洗面、入浴からトイレの作法にいたるまで、日常生活のすべてを修行と捉え、坐禅の心をもととして行動することを教えの基軸としているのです。
ここでは修行僧(雲水)(うんすい)の生活の一例を紹介します。

  • 3時
    • 3:30振鈴(しんれい) ~起床~

      起床の時間を知らせます。修行僧の生活は、全て鳴らし物と呼ばれる鐘や太鼓の合図によって行います。

      3:30 振鈴(しんれい) ~起床~
    • 3:40洗面

      起床後すぐに身なりを整え、洗面を済ませます。洗面の作法も事細かに定められており、桶1杯の水で顔から頭まで丁寧に清めます。

      3:40 洗面
    • 3:45暁天坐禅(きょうてんざぜん)

      僧堂(坐禅堂)で行う朝の坐禅です。まだ夜も明けぬ静寂の中で、心静かに坐ります。

      3:45 暁天坐禅(きょうてんざぜん)
  • 4時
    5時
    • 4:30朝課諷経(ちょうかふぎん) ~朝のおつとめ~

      一仏両祖へ礼拝し、世界の平和と人々の幸せをお祈りすることから始まります。その後歴代の祖師方やご先祖さまへのご供養などが営まれます。

      4:30 朝課諷経(ちょうかふぎん) ~朝のおつとめ~
  • 6時
    • 6:30小参(しょうさん)

      修行僧は自身の修行生活の上で迷いが生じたときに、指導者から助言を受けることができます。これを小参といいます。

  • 7時
    • 7:00小食(しょうじき) ~朝食~

      食事はお袈裟を着け、坐禅し、「五観の偈(ごかんのげ)」などの偈文を唱えてから頂きます。

      7:00 小食(しょうじき) ~朝食~
  • 8時
    • 8:00作務(さむ)

      清掃などの日常の労働を作務といいます。作務も大切な修行のひとつです。

      8:00 作務(さむ)
  • 9時
    10時
    • (坐禅)

  • 11時
    • 11:00日中諷経 ~昼のおつとめ~

  • 12時
    • 12:00中食(ちゅうじき) ~昼食~

      道元禅師は『典座教訓(てんぞきょうくん)』『赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』で、料理を調理し、また、頂戴することの大切さを説かれています。修行を成就するための大事な実践として行じます。

  • 13時
    • 13:00講義

      師家(しけ)と呼ばれる指導者による宗典や祖録を用いた講義が随時行われています。

      13:00 講義
  • 14時
    15時
    • (坐禅)

  • 16時
    • 16:00晩課諷経 ~夕方のおつとめ~

  • 17時
    • 17:00薬石(やくせき)(夕食)

      仏教教団では食事は正午までに限りそれ以降はしないのが原則でしたが、中国、日本に仏教が伝わると、空腹をしのぐ「良薬」として、夕食を摂るようになりました。これを「薬石」と呼んでいます。

  • 18時
    • 18:00講義

  • 19時
    20時
    • 19:00夜坐(やざ)

      夜の坐禅です。坐禅の終わりに『普勧坐禅儀』や『坐禅用心記』など、両祖さまの著された坐禅の心構えを読誦(音読)し、自らの修行を確認します。修行僧の一日は、まさに坐禅に始まり、坐禅に終わります。

      19:00 夜坐(やざ)
  • 21時
    • 21:00開枕(かいちん) ~就寝~

      「起きて半畳、寝て一畳」これが修行僧に与えられた場所です。「単」と呼ばれる一畳のなかで坐禅や食事、寝起きします。

      21:00 開枕かいちん ~就寝~

坐ってみよう

坐禅はひとりでもできますが、正しい姿勢や呼吸というのは自分では気づきにくいものです。また、「修行は衆力(共に道を求める力)をもってする」ということから同じ志をもつ者同士で集まってすることも大切です。

画像提供:大本山永平寺、大本山總持寺