羽重の昆布じめ | 龍皮昆布、破竹、木の芽 | |
羽重の皐月寄せ | 里天豆、岩茸甘煮、霰トマト | |
今月はメロンを使います。ハネデューあるいは当て字で羽根十とか羽重と書きます。原産地はアメリカで、あまりなじみがない果実かもしれませんが、このごろはスーパーなどでも切り売りしているようです。 マスク、アンデス、プリンスなどのメロンの美味しさは皆さんもご承知のことですが、果皮に網目のないツルツルとしたハネデューは、何となく美味しそうには見えないようです。しかし、甘味も強く、香りが高いハネデューは安価ですし、美味しいので家庭ではおすすめの素材だと思います。 |
一品目はハネデューの昆布締めです。
普通昆布締めというと、塩気の強い出汁昆布などを使用するのですが、ここでは龍飛(りゅうひ)昆布を使用しています。龍飛昆布は別に牛皮(ぎゅうひ)昆布とか求肥(ぎゅうひ)昆布ともいわれています。
上質な昆布を蒸して柔らかくし、酢と砂糖の入った液に漬け込んで、乾燥させたものです。ちょっと高価ですが、柔らかくて少々甘みがあり、とても美味しい昆布です。
その龍飛昆布とハネデューを重ねて押してみました。ハネデューはなるべく果皮に近くて硬い部分を使用しています。それは、果汁があまりない部分の方が使いやすく、また、切るときにスべるのを防ぐためでもあるのです。
単に龍飛昆布と重ねるだけの料理ですが、ハネデューと昆布の旨味が引き出せて、とてもオツな料理ではないでしょうか。
ハネデューのもう一品は皐月羹(さつきかん)です。
目に青葉、風薫る五月、そして空豆がおいしくなる季節です。緑が爽やかに感じる。そんな季節をイメージして、空豆を使用した料理に皐月と名付けました。
空豆はいったん茄でて皮をむき、裏漉しをしておきます。ハネデューは霰(あられ)切り、または賽の目切りにして、汁気を布巾などで取り除いてください。
次に寒天を戻し、火にかけて寒天地(じ)を作っておきます。空豆に塩、砂糖で味を付け、寒天地を除々に入れ、寒天のダマができないように混ぜ合わせます。
火にかけて空豆と寒天を一緒に混ぜ合わせる場合はアラ熱をとってからハネデューを入れてください。
寒天地と味付けをした空豆とを上手に混ぜ合わせたら、ハネデューの切ったものを入れて、流し缶などに流し込み、冷蔵庫にて冷して固めます。ハネデューと空豆の入った洋羹のでき上がりです。
空豆を茄でて裏漉しするのが面倒かもしれませんが、このひと手間が素材の味を引きたてるのです。
市販のお茶菓とは全然違いますので、きっと皆さんに喜ばれることうけあいです。
緑がとてもきれいで素敵なお菓子だと思います。