「超文化祭」開催報告

2023.02.01

令和4年12月27日、東京都中野区の新渡戸文化学園にて、第4回超文化祭が開催されました。

超文化祭とは、おとなもこどもも対等に、みんなで未来をつくるために集まるソーシャルアクションフェスとして、学校や年齢や所属の垣根を超えて、「知って」「繋がって」「行動する」。参加をすれば、誰もが行動者になれる、そんな未来をつくる文化祭をコンセプトに3年前から開催されているイベントで、「曹洞宗」と『てらスクール』(宗門寺院向け冊子)の連載「SDGs for School×曹洞禅」の編集メンバーの2チームが出展しました。(外部サイト:第4回超文化祭特設サイト

10時より開会式があり、トークセッションや多くの団体によるドネーションプレゼンがありました。午後は各自ブースで出展し、「曹洞宗」チームは、いす坐禅体験を行い、「坐禅のすすめ」「坐禅のいろは」「いす坐禅のすすめ」の映像型教化資料を放映いたしました。

『てらスクール』チームは、8月に東京グランドホテルにて開催されたサマーイベントと同様に「衣」をテーマに「オーガニックコットンで布ナプキンを作製するワークショップ」を行いました。

ワークショップのなかで、編集メンバーは、布ナプキンを作製するに至った経緯や社会的背景、また、SDGs目標を達成するために根本的な問題を理解したうえで取り組むことの大切さについて参加者に発信していました。

どちらも多くの方々にご参加いただき、学びを深め、参加者同士や企業との交流もみられました。

今後も色々な方と繋がりながら、SDGs活動を続けて参ります。

いす坐禅体験
ドネーションプレゼン
布ナプキン作製ワークショップ
布ナプキン作製ワークショップ

3年ぶりのリアル開催!

第4回 みらいをつくる超・文化祭の報告レポートを公開しました。

【前編】
https://www.thinktheearth.net/sdgs/2023/02/14/info_088/

【後編】
https://www.thinktheearth.net/sdgs/2023/02/14/info_089/

 

以下、当日配布資料より

問題の根源を考える

SDGsへの取り組みはその多くが複数の目標に跨っています。それは私たちが抱える問題が他の問題と深く関連しているからです。そのため、問題解決にあたっては関連する他の問題にも注意を向ける必要があります。

幾つか例を挙げてみましょう。クリーンなエネルギーとして推進されている再生可能エネルギーに全て置き換わったとして、今のエネルギー問題は解決するでしょうか?発電時のCO2排出量の問題は解決できますが、答えはNOです。現在の再生可能エネルギーはSDGsが掲げる安定的なエネルギーとは言えず、現代社会の根幹をなす電力が安定しなければ8番9番の目標に掲げられる経済発展や技術革新も不可能です。さらに太陽光パネル設置のために木を伐採するといった本末転倒な事態も起こってしまっています。教育費を完全無料にするというのはどうでしょうか。これは有効な施策ではありますが、これだけで全てを解決することは出来ません。金銭面だけが教育を受けられない理由ではないからです。今日を生きるお金を稼がなければならない人は、例え無料であっても教育を受けることはできないでしょう。

私たちは分かりやすい解決を望みがちです。女性の生理に関する問題で言えば、使い捨ての生理用品を送り続けるだけでも一応の解決にはなります。ですがそれは本当の意味での解決でしょうか?貧困、教育、社会構造など多くの要因が生み出した問題の一つが生理の問題であって、ただ物を送り続けるだけでは問題を生み出す構造自体は変わりません。布ナプキンも使い捨てに比べて継続性のある取り組みではありますが、それだけでは根本的な解決に時間がかかることを理解したうえで取り組まなければなりません。問題の根本には何があるのかを理解しなければ、真の問題解決にはならないのです。SDGsや布ナプキンプロジェクト、そして私たちが執筆しているてらスクールの記事を「何が問題の根源なのか?」という問いを持つきっかけにしていただけると幸いです。

 

お袈裟(けさ)って何?

お袈裟は、お坊さんが正式な場で法要や儀式を行う際に身にまとう大きな布で、いわば「お坊さんの制服」のような存在です。

色や素材は様ざまですが、お檀家さんの葬儀やご法事、また大きな儀式で導師を務める際には、亡き方の生前の功績などを称えるために豪華できらびやかなお袈裟を着けることが多いですし、一方で坐禅や日々の読経などの際には質素で地味なお袈裟を着けて、身と心とを慎ましく調えるようにします。

仕上がりは一枚の大きな布になっていますが、よく見ると大小の布がパッチワークのように縫い合わせられて作られています。インドで仏教が生まれた時代、お釈迦さまを始めとするお坊さんは、他の人が使わなくなった布を集めて継ぎ縫いをして一枚の大きな布を作り、それを身体に巻いて衣服としていました。ですからお袈裟はそれ自体が、全身を覆う衣服のすべてだったのです。今でも東南アジアをはじめとする「上座部仏教」と呼ばれる仏教のグループでは同じような形のお袈裟を身に着けています。

一方で、中国を経由して日本に伝わった仏教の系統では、気候の問題などもあり布一枚では寒くて生活できないので、下に着物や衣を着けるようになりました。でも、一番上に着けるお袈裟だけは、本来の意図を保って、パッチワークの形態を維持することとなりました。

今では新品の布をあえて切り分けて(それは、布の財産的価値をなくすという意味があります)改めて縫い合わせて作られることが多いのですが、今回展示したお袈裟は、使われなくなった着物を再利用し作られています。

お袈裟はお坊さんにとって「ただの衣服」ではなく、お釈迦さまの教えそのものとして特に大切に扱われるものです。使われなくなった着物がお袈裟になることは、いわば「究極のアップサイクル」ともいうべきものですし、禅が目指す「すべてのものをムダにせず大切に使う」という精神を端的に示すものでもあります。

 

〇行動したことで見えた『新しい景色』というテーマで、超文化祭に参加したメンバーにそれぞれ寄稿してもらいました。(『てらスクール』2月号はこちら