独立行政法人国際協力機構(JICA)が発行するソーシャルボンド(社会貢献債)への投資について

2021.07.21

 曹洞宗は、資産運用を通じた社会貢献活動と、持続可能な開発目標(SDGs)達成への取り組み、そして禅の信仰実践の一環として、独立行政法人国際協力機構(JICA)が発行するソーシャルボンド(社会貢献債)に対し、1億円の投資を実施いたしました。

 

1.JICA(ジャイカ)とは

 JICAは、日本国の政府開発援助(ODA)を一元的に行う機関として、開発途上国などへの国際協力を行っている組織です。

 独立行政法人国際協力機構法(JICA法)によって設置され、開発途上地域の経済及び社会の開発若しくは復興又は経済の安定に寄与することを通じて、国際協力の促進並びに我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することを活動の目的としています。

<JICAについて>
 JICA at a Glance | 一目でわかるJICA

 

2.ソーシャルボンド(社会貢献債)とは

 ソーシャルボンドとは、ICMA(国際資本市場協会)が定義するソーシャルボンド原則に基づき、社会的課題の解決に資するプロジェクトの資金調達のために発行された債券のことです。今回曹洞宗が購入した国際協力機構債券(JICA債)は、第三者評価機関よりセカンド・オピニオンを取得しており、ソーシャルボンドとして発行されています。

<セカンド・オピニオンについて>
ソーシャルボンドに関するセカンド・オピニオンを国内市場初の取得 | 2016年度 | ニュースリリース | ニュース - JICA

 

3.SDGs達成への取り組みと、禅の信仰実践として曹洞宗が取り組む意義

 JICA債への投資は、日本政府の「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」において、SDGs達成に向けた民間資金の動員ツールとして位置付けられており、調達資金は、開発途上地域の社会経済発展のために必要な公共事業等に対する融資(有償資金協力業務)という形で活用されます。

 

<JICA債についての資料>
 JICA債が担う未来 SDGs達成にむけて持続可能な世界をつくろう|独立行政法人 国際協力機構|日本経済新聞 電子版特集 (nikkei.com)

 >JICA債について(本編)(PDF)
 >JICA債について(資料編)(PDF)

特に、有償資金協力業務においては東南アジア・南アジア・東アジアといったアジア地域の諸国に対する割合が高く、カンボジア、タイ、ミャンマー、ラオスといった仏教徒が数多くいる国への支援・協力活動も積極的に行われています。

<JICAの活動例>

カンボジア | 各国における取り組み - JICA
タイ | 各国における取り組み - JICA
ミャンマー | 各国における取り組み - JICA
ラオス | 各国における取り組み - JICA

 

 曹洞宗は、2019年6月の曹洞宗宗議会における宗務総長演説において、「国際社会においてわが教団が果たすべき重要な役割の1つ」として、SDGs達成への取り組みを推進していく方針を発表いたしました。

 曹洞宗では、1991年以来、「人権・平和・環境」というスローガンを掲げ、様々な取り組みを行ってきましたが、これは貧困や差別、環境や平和の問題を包括的に理解し、連携して取り組もうというSDGsの目標と理念を同じくするものであり、「誰一人取り残さない社会の実現」は、信仰に生きる私たちにとって、生きる意味や信仰の実践に深くつながる重要なテーマであるといえます。

 曹洞宗の教えには、困難を抱え生きている人々の苦しみを、少しでも和らげることが出来るよう、願い行動するという菩薩行の実践があります。これは社会全体や相手のための行いであると同時に、自分自身を仏として成長させる大切な修行でもあります。曹洞宗におけるSDGs達成への取り組みは、単に社会貢献活動としてだけではなく、禅の信仰実践として位置づけられています。

 曹洞宗では、今後もSDGs達成への取り組みを通じ、更なる禅の信仰実践につとめることで、教団の社会的役割を果たしてまいります。