【International】ニューヨーク国際連合本部訪問報告
2019年11月21日、アメリカ合衆国ニューヨーク州に所在する国際連合本部を喜美候部謙史教化部長、教化部国際課長、国際センター主事、北アメリカ国際布教総監部出向庶務の4名が訪問し、フォルカー・ターク国連事務次長補・戦略調整担当次長と面談し、曹洞宗のSDGsに関する取り組みを紹介、また教化部長から、今後より一層、SDGs達成に向けて活動を行っていくことが表明されました。
SDGsとは、2015年9月に国際連合本部で行われた国連サミットにおいて、全会一致で採択された「持続可能な世界を実現するための一七の目標」、サスティナブル・デベロップメント・ゴールズの略称です。2030年までに達成するべき17のゴールと169のターゲットで構成された全世界共通の課題であり、地球上の「誰一人取り残さない」ことを目標としています。
具体的には、貧困・不平等・平和・環境問題など、途上国だけに限らず、すべての国の目標として設定され、SDGs達成に向けたグローバル・パートナーシップの活性化が重要視されており、関係者が官民問わず連携することで生まれる相乗効果が期待されています。
2018年11月に、成田市及び大本山總持寺において、「慈悲の行動」をテーマに第29回WFB世界仏教徒会議が開催され、この中において田文全日本仏教会理事長より、SDGsの実現に向け支援する「東京宣言」が表明されました。これはつまり、世界中の仏教徒が協力することを意味しています。
面談当日、国連日本政府代表部の次席駐在代表の星野俊也大使と本部ビルエントランスで合流し、セキュリティチェックを通過後、面談に先立ち日本政府代表部に今回の訪問の経緯を説明しました。
公務による不在の為、アントニオ・グテーレス事務総長との面談は叶いませんでしたが、事務総長室が所在する三八階で、国連事務次長補・戦略調整担当次長であるフォルカー・ターク氏と面談を行いました。ターク事務次長補は、SDGs・平和維持活動・人権に関する部門の戦略分析などを担当し、グテーレス事務総長の特別顧問も務め、国連事務局における重要な職務を担っています。
はじめに、現在取り組んでいるSDGsの活動報告を行いました。その後、東京オリンピック・パラリンピック期間中に開催予定の、SDGsの基本理念に則り世界各地からの訪日外国人に参加していただける、坐禅を中心とした体験型イベント「Tokyo禅アリーナ」などを紹介いたしました。
ターク事務次長補からは「2030年までに一人一人がSDGs実現への取り組みを実行してもらうことが目標であり、日本の曹洞宗、仏教界が参画していただけることは非常にありがたく思う。是非、他国の仏教界や仏教徒にも共有していただきたい」との言葉をいただきました。ターク事務次長補は、ご自身も坐禅を日頃の生活に取り入れているとの話もあり、終始和やかな面談となりました。
歓談の後、教化部長より曹洞宗からの書簡が読み上げられました。慈悲の心を基本とし、日本国内外の寺院・禅センターに所属する僧侶と檀信徒に行動を促すとともに、全日本仏教会や他宗派とも緊密な連携を図り、「誰一人取り残さない」社会の実現に向け取り組むことを述べた後、ターク事務次長補へ書簡を手渡しました。また、これと併せて全日本仏教会からの書簡も手渡し、記念撮影の後、面談は終了しました。
面談の前後には、星野大使の案内による総会議場などの視察が行われました。施設内の至るところにSDGsに関連する展示物が見られることからも、SDGsが国連における最重要課題の一つであることが確認されました。
今回の訪問により、国連が日本の仏教界に大きな期待を寄せていることを実感しました。また、「誰一人取り残さない世界」の実現に向けて行動することは、かねてより曹洞宗が掲げる「人権・平和・環境」に合致するものであることを確信し、今後SDGsに関する僧侶・檀信徒への啓蒙活動はもとより、他の教団と連携して活動する為にも、大きな意義を持つものとなりました。 最後に、この度の訪問にあたり、ご協力いただいた関係各所に対しまして、心より感謝申し上げ、報告といたします。
北アメリカ国際布教総監部記