布教教化に関する告諭

曹洞宗とは

布教教化に関する告諭

今、世界が抱える諸問題は、複合的かつ重層的です。基本的な人権としての平和な暮らしや命の尊厳が脅かされる危機的な状況は、広がる一方と言っても過言ではありません。

(いち)(ぶつ)(りょう)()信奉(しんぽう)する私たちは、確かな道を知っていなければならないのです。

お釈迦さまは(えん)()()(ほう)をさとられ、一切を正しく観察される()()と、他者との()(ごう)調(ちょう)()()()によって成ることを、身を(もっ)てお示しくださいました。それは、()()()(よく)を離れる私たちの生き方だったのです。

(どう)(げん)(ぜん)()は「()(こう)(へん)(しょう)退(たい)()(がく)すべし」とお示しです。

歩みを止め、息を調え、二歩も三歩も退いて、自らが行いを仏道に照らし謙虚に顧みよ、と説いておられます。

(けい)(ざん)(ぜん)()は「必ず和合(わごう)和睦(わぼく)の思いを生ずべし」と示されました。

()(ごう)調(ちょう)()を乱すのは、何時(いつ)の世も人間の()()()(よく)、すなわち(むさぼ)りであります。その(むさぼ)りこそが苦悩の源であり、対立闘争の根源なのです。

()(じょう)()()の世なればこそ、(じつ)(げつ)(わたくし)()く一切を照らしております。私たちも、()(しん)(ばん)()(ばん)(えん)と関わってゆきたいものです。

合掌は、御仏(みほとけ)に自らを重ね合わせることです。そして、御仏(みほとけ)をこの身に頂く坐禅に親しみ、世界中の人びとが誰一人取り残されることなく、安らかに暮らせるよう、祈り、念じ、共どもに()(さつ)(ぎょう)を進めてまいりましょう。

合掌

南無(なむ)釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)

南無(なむ)高祖(こうそ)承陽大師(じょうようだいし)道元禅師(どうげんぜんじ)

南無(なむ)太祖(たいそ)常済大師(じょうさいだいし)瑩山禅師(けいざんぜんじ)

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令和7(2025)年4月1日

曹洞宗管長 南澤みなみさわ 道 人どうにん