【人権フォーラム】『基礎テキスト「人権」』学習補助視聴覚教材について

2024.08.21

人権擁護推進本部では、2024年度『基礎テキスト「人権」』を増刷し、全寺院への配付を完了いたしました。このテキストは今後の宗門における人権学習の新たな基軸となることを期待するものです。

この基礎テキストの内容全般等に関しては、曹洞禅ネットの人権フォーラム該当記事をご参照ください。

そこで述べられるとおり、この基礎テキストは、収録したすべての項目に対して詳細に内容を網羅するような性質のものではなく、あくまで内容を絞り込んで掲載しています。従って学習を深める、内容への理解を促進するためには、どうしても補助教材の存在が必要不可欠であると、作成時より、資料作成委員から指摘されるところでありました。2023年度中より準備を進め、撮影、編集、確認作業と段階を経て進めていた学習補助教材がこのほど完成し、第1弾として、第2章「基本的人権」が寺院専用サイトよりご視聴いただける状態となりました。

1996年に第1作として『身元調査その差別意識を問う』を発表して以来、2022年度の『ここから~東日本大震災から10年~』まで人権啓発映像は20作となり、学習における様々な場面に使用されております。今回新たに作成したものは、過去20作とは構成から編集までのすべての行程において異なるものとなっており、学習用として幅広くお使いいただくことを期待しております。

 本来であれば第1章から始めるべきなのでは、と考える方もあろうかと存じます。しかしながら現在、私たちの周りを見わたすと、基本的人権について考えざるを得ない状況が数多く見受けられます。令和6年度能登半島地震においては、被災された女性、高齢者、障害者、性的マイノリティの人権に関して、避難所でどのような状態にあったのかといった報道が、新聞やテレビ、インターネットニュースなど様々な媒体で扱われております。また日本の外に目を向けると、2022年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻を開始して以来、依然として戦争状態は続いており、昨年10月に始まったパレスチナ、ガザ地区におけるイスラエルとイスラム組織ハマスとの武力衝突も未だ終わりを見せません。人権擁護推進本部といたしましては、基本的人権についてさらに学んでいただくならば、本年度教区人権学習のテーマを「人権と災害2~今ここから、できること~」と設定し、実施を要請、各地で学習が行われている今が正にその時期であると考えるに至りました。

この視聴覚教材には、法政大学法学部・金子匡良教授にご出演いただきました。

人権とは何か?/人権の主張について/憲法とは何か?/憲法三大原理について/憲法で語られる基本的人権とは/宗教教団が人権を考える意味/人権は、すべての人に関係ある/世界人権宣言とは?/〝人権〟の解釈の変化/「複雑化」した人権をどう考えるか/SDGsと人権問題/人権の議論は始まったばかり/個人ができること/自分も加害者という意識を持つことについて、などが語られています。

そしてその中で、金子教授は基本的人権について、「自分が自分らしく生きられる権利」であると提言されています。

人権擁護推進本部といたしましては、この教材を広くご視聴いただくことで、日本国憲法の三大原則の一つでもあり、「自分が自分らしく生きられる権利」であるはずの基本的人権について改めて思いを巡らすきっかけとなり、場所や年齢、国籍や性別を問わず、立場や意見を異にしながら「人権」について話し合っていただく一助となることを期待いたしております。

※曹洞宗関係者向け動画となります。ご視聴の場合には寺院専用サイト・人権のページをご覧ください。

人権擁護推進本部 記