【人権フォーラム】不当な差別・偏見に基づく冤罪事件の解消を求めて

2024.05.20

曹洞宗では、部落差別をはじめとする不当な差別的取り扱いを解消するため、狭山事件に関する取り組みを行っています。この事件では、当時、被差別部落の青年たちに対する偏見と差別が存在し、不当な見込み捜査が行われたことが指摘されています。

私たちが安心して生活するには法の下の平等が保たれていることが必須条件のはずです。もし、自分の力ではどうすることもできない理由によって不平等に裁かれてしまうとしたら、私たちはいつ投獄されるのか不安な毎日を過ごすことになるでしょう。冤罪事件を考えることは、自分自身の安寧を考えることでもあるのです。

今回の人権フォーラムでは、冤罪を立証するための再審請求を訴え続ける愛知県龍源院住職・東三河狭山住民の会所属の牧野弘済師より、集会の参加報告をご寄稿いただきました。

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浦和駅西口狭山スタンディング行動
「3・11浦和地裁死刑判決60ヶ年糾弾! 」「 狭山第3次再審闘争勝利!3・9埼玉集会」報告

3月9日、正午より風の強い中、私を含め10名の有志により浦和駅西口で「狭山事件の再審実現」のチラシ配り、及び署名活動を行い、幟やプラカードを掲げながら会場となる埼玉佛教会館に徒歩で向かいました。

集会には100人の席では足らず、沢山の支援者たちがロビーからの参加となりました。主催者を代表して部落解放同盟埼玉連合会の片岡明幸委員長が挨拶されました。片岡委員長は、挨拶の中で「2月末に開催された三者協議の中で、新しく就任した家令和典裁判長と弁護団の間で、狭山事件の概要や問題点などをまとめた資料を説明することが約束されました。これに対して、検察は必要なしと言ったようです。しかし、三者協議に参加した弁護士全員が家令裁判長には期待ができると言っています。今年中に、家令裁判長が鑑定人尋問を行うかどうかの判断を出すと考えているそうです。」と話されました。ゲストスピーチとして袴田巌さんを救援する清水、静岡市民の会の事務局長が『釈放10年、再審開始確定1年』をテーマにお話をされました。その後、石川一雄さん、石川早智子さんの訴えがあり、一雄さんは、主催者からの10分という時間を気にされ短めにお話(訴え)をされました。

「まさか、自分が支援者の前に、杖をついて登場するなど想像もしていなかった」と、中々再審開始とならない苛立ちと、それでも今度こそという期待が織り交ざったお話(訴え)でした。

また、早智子さんは隣で急かす一雄さんに何度も「シー」と人差し指に口に当てられ、「事件から61年仮出獄から30年、第三次再審請求から18年、三者協議は58回も行われてきました。何度も期待を裏切られ心が折れそうになることも。でも、一雄さんの中には諦めという二文字はないと、一雄さんは言います。そんな一雄さんを見て、私は自分を奮い立たせてきました」と、溢れ出る想いを語ってくれました。

一雄さんはさらに、「毎日新聞の隈元記者による狭山(事件)記事の度々の掲載や各社でも狭山を取り上げてもらえるようになりました。先日(2月26日放送)のNHK『おはよう日本』の放映等も大きな力となっています。今日の集会には地元埼玉の仲間達をはじめ都内の仲間達、県外からも応援に来ていただいてます。」等と話されました。

集会決議では、「狭山事件を考える比企地区住民の会」の代表者が集会案を読み上げ採択がなされました。

この集会の要は、「部落民ならやりかねない」という予断と偏見です。浦和地裁は第1回公判から僅か半年のスピード審理で、検察の求刑どおりの「死刑判決」が下されました。それから今年で60年、狭山差別裁判の元凶でもあります。狭山の勝利、石川一雄さん無罪判決なくして部落解放(部落差別解消)はあり得ません。

そして、この「浦和での集会」は、石川一雄さんが獄中時代から部落解放同盟埼玉県連にお願いをしていた「狭山事件」の『原点』でもあります。私としては、一人でも多くの方にこの部落差別による冤罪事件に関心をもっていただきたいです。

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本年5月23日13時より、狭山事件の再審を求める市民集会が、東京都日比谷野外音楽堂で開催されます。どうぞご参加ください。

人権擁護推進本部 記