【人権フォーラム】第43回「同宗連」総会報告 ―第22期議長教団就任―
2023年4月20日、第43回「同宗連」総会が開催されました。曹洞宗檀信徒会館を会場に、約90名の参加でした。
「同宗連」は、『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議の略称で、結成の契機となったのは、1979(昭和54)年の第3回世界宗教者平和会議における、当時の全日本仏教会理事長・曹洞宗宗務総長による、部落差別発言です。
それまでも一部の教団においては、部落差別撤廃の取り組みがなされてきましたが、この発言により、宗門のみならず、宗教界全体の部落差別問題における無知と差別体質が問われたことから、さまざまな宗教教団が教義・教派を超えて、部落差別問題を始めとするあらゆる差別問題の解消を目指し、1981(昭和56)年6月29日、「同宗連」結成に至りました。
総会に先立ち、「同宗連」議長・足立宜了師(臨済宗妙心寺派)による開会挨拶が行われ、引き続き、部落解放同盟中央本部中央執行委員長・西島藤彦氏より来賓挨拶をいただきました。
西島委員長は、「昨年、水平社創立100年の節目の年をむかえ、京都で記念集会を開催しました。記念集会では『同宗連』の皆さま方にも参加いただき、一日も早い部落差別の撤廃に向けて取り組んでいくことを共有させていただきました。改めて御礼申し上げます。
これまでの『同宗連』の各教団の歩みと部落解放運動の歩みは別物ではないと思います。差別の歴史を見たときに教団の中にある差別の体質や実態に教団自身がしっかりと目を向け、内面の克服に向けた取り組みがなされてきました。また、経典をはじめ、さまざまなところに差別の実態が存在し、それをしっかりと熟視しながら、現実の行動の中でどのように克服していくのか、このことが各教団に問われてきた年月でもありました。差別が現実に解決していない実態をしっかりと直視し、引き続き、各教団が連帯しながら、共に歩まれていくことを期待しています。
また、世の中を見ると、ウクライナの戦争で人の命が安易に消えてしまうということを目の当たりにして、それに対し大きな声を挙げられない現実に直面し、まだまだ社会の中に戦争や差別問題が大きく存在している実態を垣間見ることができます。こういう時代だからこそ、人の平等や人の命の尊厳にしっかりと寄り添うという行動が求められており、『同宗連』活動はその最先端の活動になると思いますので、引き続きの取り組みをお願いたします」とこれまでの「同宗連」の各教団の歩みについて触れながら、今後も「同宗連」の各教団が連帯し、取り組んでいくことに期待を寄せられました。
続いて「同和問題」にとりくむ宗教教団東京地区連帯会議議長・真鍋孝幸氏より来賓挨拶、服部秀世宗務総長より会場提供教団挨拶をいただきました。
その後議事に入り、2022年度「同宗連」事業報告、一般会計決算、2023年度「同宗連」事業計画案、一般会計予算案の審議・採決が行われた後、第22期「同宗連」役員教団が選出・承認され、曹洞宗は第22期「同宗連」議長教団に就任いたしました。
第22期「同宗連」役員教団の構成は左記のとおりです。
・議長教団/曹洞宗
・副議長教団/高野山真言宗・大本・臨済宗妙心寺派
・企画委員長教団/浄土宗
・広報委員長教団/真言宗御室派
・監事教団/日本バプテスト連盟・臨済宗円覚寺派
議事終了後、「同宗連」前議長・足立宜了師より退任挨拶、新議長・戸田光隆人権擁護推進本部次長より就任挨拶、我孫子高宏事務局長より新事務局紹介が行われ、第43回「同宗連」総会の全日程が終了しました。
この総会をもちまして第21期「同宗連」役員教団の任期が終了し、第22期「同宗連」役員教団が始動します。曹洞宗が議長教団に就任するのは、第4期の1987~1988年度ならびに第11期の2001~2002年度に就任して以来、実に22年ぶり3度目となります。
第22期「同宗連」議長教団就任にともない、今後、曹洞宗の「同宗連」における活動はより主導的なものとなりますが、新型コロナウイルス感染症流行期間の3年ほどは、「同宗連」活動において事業の中止やオンライン開催を余儀なくされたこともありました。本年度からは「同宗連」活動も以前の水準に戻していかねばなりません。「同宗連」議長教団として、部落差別をはじめとする一切の差別解消に向けて各教団とのさらなる連帯を深め、一層努力をしてまいりたいと思います。
人権擁護推進本部 記