【International】海外に広がる曹洞禅について
世界的に猛威を奮った新型コロナウイルス感染症の影響により、日本をはじめ諸外国では、海外への渡航は困難を極めていましたが、収束の兆しが見え始め、徐々に緩和されてきています。
海外渡航が以前のように戻りつつある中、海外の曹洞宗に触れていただける機会をご紹介します。
現在、曹洞宗はハワイ、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパに国際布教総監部を設置しています。海外全体で130を越える寺院や禅センターがあり、700名以上の宗侶が各地で活動しています。国際布教の歴史は古く、ハワイと南米は今からちょうど120年前の1903年、北アメリカは1922年、ヨーロッパは1967年、そこから先人たちのたゆまぬ努力と檀信徒とメンバーの熱い信仰により、今日まで世界各地で曹洞禅が展開されています。
今年は10月にオアフ島ホノルルの両大本山布哇別院正法寺で「ハワイ国際布教120周年記念慶讃法要」、8月にペルー共和国リマ市で「南アメリカ国際布教120周年記念慶讃法要」、さらに、5月にはアメリカ合衆国ロサンゼルス市にある両大本山北米別院禅宗寺で「北アメリカ国際布教100周年記念慶讃法要」が執り行われます。現在、各総監部が主体となり現地僧侶と連携して鋭意準備を進めております。
2024年は、大本山總持寺を開き、曹洞宗の教えを全国に広げた瑩山禅師の700回忌の年であり、前年にあたる2023年は「大本山總持寺開祖瑩山禅師700回大遠忌予修法要」がハワイ、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパの各国際布教総監部においても修行されます。日本の予修法要に倣い、法語や疏、ポスター等を現地の言語に翻訳、また、予修法要をテーマにした勉強会等を企画しております。
このように、本年は各総監部で、様々な行事を執り行う非常に大切な節目の年となります。日本から予修法要や周年行事に随喜する宗侶も多く、海外における宗門の展開に触れることができる貴重な機会になるでしょう。
さらに、こういった大きな行事に関係なく、海外の旅行などの際に寺院や禅センターに訪問することが可能です。禅センターによっては、参禅宿泊も可能となっており、過去、北アメリカの参禅ツアーや子弟向けのツアーが実施され、寺院や禅センターで参禅研修を行ったケースもございます。中には語学留学のステイ先として禅センターに滞在し、現地の方々と日頃の行持を共にし、勉学に励む方もいらっしゃいます。
そして、僧堂安居者を対象にした「僧堂掛搭僧海外研鑚補助制度」を設け、僧堂安居者が海外寺院・禅センターにおいて研鑚する際の渡航・滞在などに掛かる費用の補助をしています。言語も文化も異なる海外において、同じ曹洞禅を志す仲間と過ごす日々は、日本と同じ行持であっても様々な気づきを得ることができます。海外での研鑚を終えた後に各僧堂に戻り、現地での経験がその後の安居生活をさらに充実させて、他の安居者への刺激になることが期待されます。
また、滞在先である寺院・禅センターにとっても日本の僧堂で実際に安居中の宗侶が滞在することは、良い刺激・経験になっているという報告を受けております。
これまで男女国籍問わず、60人以上がこの制度を利用しました。中には現地で研鑚した経験を活かし、国際布教の関係の道に進んだ方も存在します。
2020年の感染拡大以降、大小様々な行事が中止や開催規模を縮小していましたが、本年の行事は感染対策に万全を務めながらも各行事が執り行われます。
複数言語に対応したウェブサイトである、SOTOZEN.COMでも、海外の寺院・禅センター情報を確認することができますが、記念事業や慶讃法要といった行事に興味のある方、海外の寺院や禅センターに訪問し参禅してみたいなど、海外の曹洞宗にご興味のある方は、ぜひ曹洞宗宗務庁国際課までご連絡ください。
教化部国際課