【人権フォーラム】動画版「みんなお寺に来てほしい」公開のお知らせ
曹洞宗人権擁護推進本部は去る6月3日、東京都八王子市の大泉寺を会場にポスター「みんなお寺に来てほしい」の掲示イベントを行い、その様子を撮影しました。それをこの度、動画として曹洞宗寺院専用サイトで公開しました(曹洞宗寺院専用サイト内、「人権」の項目にある資料一覧中)。プレスリリースも行われ、イベントの様子は業界各紙にも取材していただきました。
このポスターは今年度教区人権学習の教材の一部であり、4月に各教区長の元へ教区内の全寺院分が発送されています。今年度教区人権学習の詳細については、4月掲載の本記事でもお知らせいたしました。
概要は2018年度以来学んできた障害と人権に関する学習の集大成として、寺院に行動を求める内容で、具体的には障害理解のためのポスターやステッカーを掲示するというものでした。ポスターには寺院名を記入する欄も設けられています。こうして寺院の側から障害のある方や高齢者、お子さま連れや妊娠中の方など「みんなお寺に来てほしい」と発信することの必要性を知っていただきたい、そういった学習資料になっていました。
しかし、制作の段階から、ポスターに署名をし、メッセージを発することの持つ意味の重さから、実行に移してもらい難いのではないかとの懸念がありました。「うちのお寺は何か特別な対応ができるわけでも無いし」「貼った以上、対応していかないといけないのでは」そう思われる方もあろうと、資料作成委員会でも考えていました。
それでもこの形態のポスターを作成したのは、これまでの学習と資料の作成の中で分かってきたことがあったからです。それは寺院と障害当事者との間の接点があまりに少ないということです。人口に占める割合を考えれば、檀信徒の中にいるはずの障害のある方が法要や行事の際に姿が見えない、最初から寺院との関わりが持てないものとして、断念されている方が相当数いらっしゃるのではないか、ということでした。お寺に行けない、という状況を当事者だけが直面するものから、寺院も共有し一緒に考えていくものにしていく必要を感じていました。そのためには寺院からの発信が不可欠であるとの考えから、今回のポスターやステッカーを含む学習資料となったわけです。
そこで実際にポスターを掲示する様子を動画として配信することで、今回の学習から求められている行動がどのようなものか、イメージできるようになれば、というのが今回の動画作成の理由です。
動画では、大泉寺へ障害当事者の方にお越しいただいている様子、皆でポスターを掲示する様子を紹介しています。障害当事者にお寺にお越しいただくと実際にどのような配慮が必要なのか、この点については昨年や、一昨年の教区人権学習をおさらいいただくのもよいと思います。
(資料は人権本部へ資料申請が可能です、また曹洞宗寺院専用サイト内の「人権」の項目で過去の学習資料の閲覧、ダウンロードが申請なしで可能です)
「せっかくポスターやステッカーを掲示するのなら、掲示そのものが一つの告知イベントとなったほうがより効果が高いし、我々もうれしいです」そんな当事者の声が今回の動画に反映されています。動画本編は皆様に見てもらい易く、イメージが湧くように時間的にもコンパクトにまとめました。
また、一方で撮影当日の当事者の声、ご住職の声、寺族さん、檀信徒さんの声を集めたインタビュー編も用意しました。少々ボリュームがありますが、お寺と「みんな」の繋がりを考える一助になれば、と思います。本編を観て興味がわいた方は是非、ご覧ください。そして皆様のお寺でもポスターやステッカーを掲示いただく際のご参考になれば幸いです。
今年度もコロナ禍の中にあって人権学習の開催が難しい状況にある教区もあるかと思いますが、そうした中でもできる学習と行動の在り方について、人権本部も今後とも考えていきたいと思います。
人権擁護推進本部記