梅花流ことはじめ【その6】正法日本建設運動から「お誓い」へ
梅花流の「お誓い」は次のとおりです。
私達は梅花流詠讃歌を通して、正しい信仰に生きます。
私達は梅花流詠讃歌を通して、仲よい生活をいたします。
私達は梅花流詠讃歌を通して、明るい世の中をつくります。
この3ヵ条は前回お話ししたように、1952年に始まる曹洞宗教団の布教教化方針「正法日本建設運動」の3つの標語「明るい日本・正しい信仰(信念)・仲よい生活」をもとにしたものでした。この運動と梅花流との関係は、1960年5月に発行された、当時の梅花流機関誌『梅花』第一号に掲載された次の文章によって明らかです。関係(引用者注:梅花流関係者)各位は(中略)言行一致の梅花流詠道修行に邁進し、祖道の為に祖道を行じ、諸人をして「正しい信仰」を得せしめ「仲良い生活」に入り「明るい社会」の建設に意を注ぎ「正法日本建設」に師範としての本来の面目を発揮したいものである。(梅花流師範・大賀亮谿執筆)
さらに発足当初の全国奉詠大会の名称を見ると、1952年の第1回は「正法日本建設祈願全国各流奉詠讃仏大会」(大本山總持寺会場)、翌年の第2回は「正法日本建設浸透詠歌和讃奉詠大会」(大本山永平寺会場)でした。つまり梅花流活動は、正法日本建設の一翼を担う曹洞宗教化運動として意味づけられていたのです。
実際に「お誓い」が制定されたのは、1967年の大本山永平寺における「梅花流創立十五周年記念全国奉讃大会」においてでした。曹洞宗管長・高階瓏仙はこの時の「御垂示」で次のように述べています。曹洞宗の檀信徒として梅花流の詠唱を行ずる方々は、常にこの三ヶ条の精神を以て、自己を、家族を、世界を立派なものにすると云う覚悟で斯の道を精進して貰いたい。
「正法日本建設」の名はありませんが、その理念はここに生きていると言えるでしょう。
秋田県龍泉寺 佐藤俊晃