梅花のこころ~梅花流詠讃歌~ 「四摂法御和讃」四番
毎月発行の『禅の友』では「梅花のこころ~梅花流詠讃歌~」と題しまして、梅花流詠讃歌の曲をもとに、解説や執筆者の想いなどを紹介しています。今月は梅花流特派師範 山形県 長泉院 石川茂稔による「四摂法御和讃」四番のお話です。
隔ての心なきゆえに 流水の海に入るに似て
ともに生きんと相集い 励まし暮らす爽やかさ
「四摂法御和讃」四番
今年は新型コロナウイルス感染症の影響で長い自粛生活が続き、毎月の梅花講習会も、やむを得ず長期のお休みといたしました。そんなある日、お一人の講員さんから電話をいただきました。「和尚さん、元気ですか?ずっと講習もお休みなので、声が聞きたくなって電話しました」という嬉しいお言葉。少し話をすると「何だか気持ちが軽くなりました。自粛解除されたらすぐに講習会はじめましょうね、皆に会いたい。ありがとう」と電話を切りました。気がつくと私の心も軽くなり、早く皆さんと一緒に声を出したいな、と自然に笑顔になっていました。人は皆、つながりを欲しながら励ましあって生きていると、改めて気づかせていただきました。
道元禅師は『正法眼蔵』「菩提薩埵四摂法」の巻で「海の、水を辞せざるは同事なり(海は、すべての水を拒まずに受け入れるので大きな海になります)」とお示しです。さらに「水の、海を辞せざる徳も、具足せるなり(大きな海になるのは、水も海を拒まない徳を持っているからです)」と続きます。梅花講もそうですが、集会活動には様々な個性を持った人が集まります。その中で自分の個性を大切にしながらも、他者の個性を尊重して受け入れることで良い雰囲気がつくられていきます。この巻の最後には「やはらかなる容顔をもて、一切にむかふべし」と示されています。どんな状況でも、やわらかな笑顔があると和が生まれる一歩になると思います。周りの人が暗い顔をしていたら、自分も心から幸せになることはできません。みんなの幸せ、爽やかな日々の暮らしを願い、明るい笑顔でこの歌詞をお唱えしてみませんか。