【International】「ジャパン・ハウス・ロサンゼルス」精進料理セッション報告
令和2年2月23日、ロサンゼルス市ハリウッドに所在するジャパン・ハウス・ロサンゼルスで、精進料理をテーマにしたセッションが行われました。当日は小島秀明両大本山北米別院禅宗寺国際布教主任、同じく宮﨑良孝国際布教師、伊藤大雅曹洞宗国際センター主事、北アメリカ国際布教総監部出向庶務担当の4名が講師として参加いたしました。
ジャパン・ハウスは、日本のアート・デザイン・テクノロジーなどを紹介する戦略的対外発信の強化に向けた取り組みの一環として、世界3都市サンパウロ、ロンドン、そしてロサンゼルスに設置された外務省管轄対外発信拠点となっています。
平成30年8月に全館開館したジャパン・ハウス・ロサンゼルスは、アカデミー賞の授賞式会場として世界的にも知られるドルビーシアターを収容する、ショッピングとエンターテインメントの人気複合施設に所在し、2階に商業店舗とギャラリー、5階にはレストランと多目的に使用可能なホールを有しています。
今回の催しは、精進料理教室や坐禅教室とは大きく異なり、5階ホールで毎月開催されている日本の食文化を紹介する食事業「Japanese Food Lab」において、曹洞宗の食を通じて日本の食文化を紹介するため、午前と午後の2回にわたり実施いたしました。
まず初めに講師4名の紹介、宗門における僧堂での修行の様子や僧堂飯台の映像放映の後、小島師より宗門における食事をいただくことの大切さや、「いただきます」の言葉の意味などが日本の精神性に関連付けて紹介されました。その後、両大本山北米別院禅宗寺坐禅会から借用した簡易応量器を用いて、一汁一菜の精進料理を参加者へ提供いたしました。
参加者は全員現地在住のアメリカ人であり、応量器を手に取ることも見ることも初めてでしたが、小島師の説明に熱心に耳を傾けながら、応量器を使って食事しました。
配膳の後、英語で「五観の偈」を参加者全員でお唱えし、箸と匙を用いて心静かにいただきました。最後は沢庵を使って器を洗い、元の様に応量器を包み、食事を終えました。食事の後に行われた質疑応答では、参加者から多く寄せられた質問に、小島師が一つ一つ懇切丁寧に回答し、セッションは終了いたしました。
当初午前と午後のセッションで各20名の参加人数を上限としていましたが、申し込み開始早々に定員がいっぱいになったことで、ジャパン・ハウス側からの要望により、急遽定員を拡大しての開催となりました。現地での精進料理に対する関心の高さを実感するとともに、展鉢のデモンストレーションをしている場面や、提供された料理を撮影し、その場でインスタグラムなどのSNSに投稿している参加者が多くいたことが印象的でした。
終了後のアンケート調査では参加者全員から「参加してよかった」との評価をいただき、海部優子館長、また食事業担当者からも、今後の継続を希望したい旨が述べられました。限られた設備・備品を用いての催しとなりましたが、大変好評をいただいたイベントとなりました。
北アメリカにおいては、ベジタリアン(肉や魚を食さず、乳製品や卵は食す菜食主義者)・ヴィーガン(乳製品や卵も食さない菜食主義者)などといった食生活を心がける人々が多く存在します。特徴として、健康志向が高いことや環境問題に取り組んでいることだけでなく、坐禅をはじめとした日本の精神性にも興味関心があることに起因するものと考えられます。
今回の精進料理セッションを契機として、今後このような精進料理を通じた布教教化活動が総監部管内において、より広範に実施されるよう、取り組んでまいります。
北アメリカ国際布教総監部 記