梅花のこころ~梅花流詠讃歌~ 「釈尊花祭第一番御詠歌(歓喜)」

2020.04.06

毎月発行の『禅の友』では「梅花のこころ~梅花流詠讃歌~」と題しまして、梅花流詠讃歌の曲をもとに、解説や執筆者の想いなどを紹介しています。今月は梅花流特派師範 山形県 長泉院 石川茂稔による「釈尊花祭第一番御詠歌( 歓喜 )」のお話です。

あなうれし はな御園みそのに みほとけの
れしぞ たたえまつらん

「釈尊花祭第一番御詠歌( 歓喜かんぎ )」

 

私が住む山形県庄内しょうない地区は、毎年梅の花と桜の花がほぼ同時に咲きそろいます。暖かな春の風が、梅の甘い香りをのせて桜並木を吹き抜ける、厳しい冬を乗り越えた北国ならではの贅沢なひとときです。
四月八日はお釈迦さまの誕生日。本堂全体が甘茶のやさしい香りに満たされます。花御堂はなみどうという小さなお堂の屋根をたくさんの花で飾り、中にお釈迦さまの姿をした誕生仏を納め、甘露かんろに見立てた甘茶をかけてお祝いします。灌仏会かんぶつえ降誕会ごうたんえ、花まつりとも呼ばれます。
 この御詠歌の曲名である「歓喜かんぎ」は、お釈迦さまの誕生を喜ぶとともに、私たちがその教えに出会うことができたありがたい気持ちをあらわしています。

お釈迦さまは生まれてすぐに四方に七歩ずつ歩み「天上天下唯我独尊てんじょうてんがゆいがどくそん(人はみな等しく尊い)」と説かれたといいます。私たちも同じく、一人ひとりが豊かな徳をそなえて生まれた仏の子に違いありません。そのことに気づいて教えに照らしてみると、人生に起こる様々な悩みや苦しみ、悲しみをありがたく受けとめることができたり、叱られたことに感謝ができるようになります。そして少しずつ生き方が変わってきます。
 お釈迦さまのことばに、「徳のある人々の香りは、風に逆らっても進んで行く。徳のある人はすべての方向に薫る。『真理のことば』(中村元・訳)」とあります。
 いま、この世でお釈迦さまの教えに出会うことができました。お釈迦さまのようにあたたかく、人の心をやさしく包むような、徳のある人に少しでも近づけるようになりたいですね。
 さあ、よろこびをこめて、一緒にお唱えしましょう

 

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