梅花のこころ~梅花流詠讃歌~ ─「地蔵菩薩御和讃」 三番 ─
2019.07.03
連載・コラム
毎月発行の『禅の友』では「梅花のこころ~梅花流詠讃歌~」と題しまして、梅花流詠讃歌の曲をもとに、解説や執筆者の想いなどを紹介しています。今月は梅花流特派師範、茨城県泉福寺、小嶋弘道先生による、「地蔵菩薩御和讃」三番のお話です。
この世の今日の苦しみも 我が身のあすの悲しみも
代受のちかい深ければ たのむ心にかげはなし
「地蔵菩薩御和讃」 三番
地蔵菩薩は、一般的にお地蔵さまとお呼びして、私たちに大変親しみ深い菩薩です。お寺の境内や参道、峠、あぜ道、墓地の入り口などに安置されている様々なお地蔵さまのお姿を拝することが出来ます。
お地蔵さまは、あらゆる人々の悩みや苦しみをそのまま受け入れてやすらかな心を与え、人々を救いつづける慈悲の菩薩です。
いつの日からか、境内のお地蔵さまにお参りをされている高校生ぐらいの娘さんと、そのお母さんを何度も見かけるようになりました。お二人並んで、一心に手を合わせている後ろ姿がとても印象的でした。
お聞きしますと、娘さんが病院の帰りにお寺のお地蔵さまに出逢い、それから通院のたびに病気の治癒を願ってお参りをされているそうです。
お地蔵さまは、私たちの苦しみや悲しみを、代わって自ら引き受けようとされる「代受のちかい」をなされ、共に分かち合って下さいます。
私たちは生老病死の四苦に出会い、その苦しみや悲しみの中で、生命、健康の有難さを痛感します。その娘さんも病院での治療とともに、心の支えとしてお地蔵さまにお参りをされているのでしょう。
あらゆる場所にお地蔵さまがいてくださることは、とても有難いことなのです。
皆さまもどうぞご一緒にお唱えいたしましょう。