【International】ペルー日本人移住120周年記念式典 参加報告
1899(明治32)年2月27日、790名の日本人が移民船「佐倉丸」に乗船し横浜港を出発、太平洋を渡り同年4月3日にペルーのカヤオ港に到着しました。ここから南米への移民の歴史が始まりました。
本年はこの移住より120年の節目にあたり、4月3日から4日にかけてペルー日本人移住120周年記念式典がペルー共和国リマ市内で開催され、曹洞宗より中村見自伝道部長が来賓として招待されました。
4月2日、この度の記念式典を統括するペルー日系人協会を訪問し、同協会会長福元アベル氏らと会談しました。会談では、南米最古の仏教寺院、慈恩寺を有する曹洞宗の布教活動に関わる長年の支援と協力に感謝が表され、曹洞宗からはペルー日系人協会に賛助金の贈呈も行われました。
両国の友好の日である4月3日には、ペルー国会議事堂において式典が開催され、日本政府から辻清人外務大臣政務官、またペルー国会議員のマルコ・ミヤシロ氏、土屋定之駐ペルー大使、福元アベルペルー日系人協会会長ら、両国関係者が出席されました。
両国の国家斉唱、来賓の挨拶のあと日本舞踊やペルーのフォルクローレなど両国の伝統芸能が披露され、式典は盛大裡に終了いたしました。
翌4月4日には「日秘友好の橋」(「秘」はペルーの意)があるカンポ・デ・マルテ公園において、ペルー日本人移住120周年記念法要と開拓先亡者追悼法要が中村伝道部長導師のもと、300人以上の参詣者のなか勤められました。
日本語学校生徒による献花に続いて茶道裏千家による献茶が行われ、「日本秘露友好親善之鐘」の妙音が十方に響くなか厳かに法要は始まりました。
この鐘は、2013年に南アメリカ国際布教110周年の際に曹洞宗よりペルー日系人協会に贈呈されたものです。一会中、来賓の方が両国の益々の発展と友好関係を祈念し鐘を撞かれました。また導師の入退堂中にはリマ市内の瑞鳳寺梅花講により三宝御和讃と正法御和讃が奉詠され、当地での活動の芳しい様子が見受けられました。
参詣者は事前に配布された経本を手に一同読経し、先人の艱難辛苦に思いを馳せた様子でご焼香されていました。最後に祝辞が奉読され、記念法要は無事に終了いたしました。
その後、クスコ市より西へ車で40分程に位置する、クスコ禅センターへの拝登も行われました。この禅センターは標高約3400メートルに位置し、確認できる中で世界で一番高い標高に位置する禅センターです。ここでは2013年より大城慈仙南アメリカ国際布教師が指導にあたっておりましたが、本年2月より瑞應寺専門僧堂に安居していたサンチェス天海師が帰国し、当禅センターだけではなく、近郊地域でも坐禅会を開催し、多くの方に坐禅の妙味を味わっていただいております。
さて、ペルーには他の仏教教団や新興宗教の活動もありますが、曹洞宗だけが特にこの記念行事に深く関わらせていただきました。
高祖さまは「あきらかにしりぬ、西天東土、仏祖正伝するところは、恭敬仏法僧なり。帰依せざれば恭敬せず、恭敬せざれば帰依すべからず。この帰依仏法僧の功徳、かならず感応道交するとき成就するなり。」とおっしゃっております。
また宗務総長よりの祝辞には「本日の法要でお唱えしました『三宝御和讃』は、まさに仏教を信仰する上で最も大切なものである、「仏法僧」の三宝についてのお唱えであり、この120年の間、皆さま方が大切に護持し、真心で受け継がれて来られた信仰そのものであります」とありました。
今回の記念行事は当地に於いて活動を始められた上野泰庵師以降、活動を続けてこられた宗侶の道心、また檀信徒の信仰の賜物であり、そして未来を託された我々は先人たちの思いを胸に、次の130周年の節目に向かって平和の梵鐘の妙声が響き続けるよう、より一層の精進を期する機会となりました。
(南アメリカ国際布教総監部記)