梅花のこころ~梅花流詠讃歌~ ─「大聖釈迦如来涅槃御和讃」三番 ─

2019.02.04

毎月発行の『禅の友』では「梅花のこころ~梅花流詠讃歌~」と題しまして、梅花流詠讃歌の曲をもとに解説や執筆者の想いなどを紹介しています。
今月は梅花流特派師範 千葉県新井寺 松井量孝先生による「大聖釈迦如来涅槃御和讃」三番のお話です。

 

教えおしのままにしたがいて   戒法まもりゆく道いましめ      みち

そこに仏の命ほとけ いのちあり     怠るおこたなかれもろびとよ

            「大聖釈迦如来涅槃御和讃だいしょうしゃかにょらいねはんごわさん」三番

 

2月15日は、お釈迦さまが亡くなられた日です。この日を「涅槃会」といいます。お釈迦さまは、45年間にわたって布教伝道の説法をなされ、80歳のご生涯を閉じられました。

「もろもろの事象は過ぎ去るものである。怠ることなく修行を完成なさい」。
時間はたちまちに過ぎてゆく。怠ることなく、いま・ここをつとめなさい。このことが、お釈迦さまが最後に遺された教誡でした。

亡くなった人の言葉には、重みを感じます。その奥に、その人の「生きざま」を感じるからでありましょう。わたしにも、深く胸に刻んでいる亡き人の言葉があります。「腰にシワを寄せずに着物が着られるようになるには、30年かかる」。得度式の日、帯を締めた白衣姿のわたしに、祖父師がかけてくれた言葉でした。祖父師は、寡黙で読書や書に親しみ、よく作務に勤しんでいた人でした。この言葉は「何ごとにもめげず、たゆまず、つとめ続けなさい」という、新たな道の出発点に立った孫弟子への励ましであったように感じています。

大切なことは、言葉や概念にとどめることなく、実際に自分の身体と心で行うということです。自分にできるか、できないかと心配することはありません。やるか、やらないかなのです。自分のおもいはもちこまず、身体も心もその教えに投じて、ただひたすらに、行い続けてゆく。それが、「戒法まもりゆく道」ということなのです。

皆さまもどうぞご一緒にお唱えいたしましょう。

 

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