【人権フォーラム】新刊人権擁護推進本部教材資料の紹介 2 『宗報』にみる戦争と平和 曹洞宗ブックレット 宗教と人権⑩
曹洞宗ブックレット 宗教と人権⑩
曹洞宗人権擁護推進本部では、前号で紹介しました『曹洞宗人権擁護推進本部紀要』第4號にひきつづき、「『宗報』にみる戦争と平和」と題する読み物を、『曹洞宗ブックレット宗教と人権⑩』シリーズの10作目として刊行しました。
第二次世界大戦・アジア太平洋戦争の終結から70年を契機にして、『宗報』の人権フォーラム欄に不定期に掲載してきた10回分の記事をまとめて編集した小冊子です。
執筆方針と発刊の趣旨について
このブックレットの執筆方針と発刊の趣旨目的については、本ブックレットの「はじめに」の所で次のように述べています。
戦禍を目の当たりにした戦前・戦中の現場証人の方が日本社会のなかで少数派となった今日、かけがえのない人の生命と尊厳が無慈悲にも奪われる戦争について、単なる過去の歴史ということではなく、現在のそして未来のあり方から冷静に考えることが大切だと思います。
本書執筆とブックレット発刊の趣旨は次の3点です。
最初は、曹洞宗の戦争史を明らかにするということです。
世界史や日本史という舞台で語られる大きな歴史ではなく、曹洞宗のいろいろな立場の人や寺院が、戦争という状況をどのように受けとめ、実際にはどのように行動したのかということを、曹洞宗の公式の機関誌である『宗報』『曹洞宗報』等の記事によって明らかにしたいと考えました。
第二には、曹洞宗の動向をその当時の歴史の流れに重ね合わせて見るということです。
戦争は日本や曹洞宗のなかだけで起きていることではありません……〈中略〉……曹洞宗の戦争協力について明らかにしたいと思っています。それは従来の一辺倒な非難・揶や揄ゆや擁護論ではなく、できるだけ当時の宗門人の意識に近い実態を明らかにしたかったからです。……〈中略〉……最後に、本書をお読みいただく意味は、過去の歴史の学習ということにとどまるのではなく、過去を背景として生きている現代の私たちの問題と課題とも連動させたいという願いにあります。
(抜粋要旨)
本書の特徴と利用方法
新刊ブックレット「『宗報』にみる戦争と平和」は、曹洞宗の機関誌とその付録冊子にあらわれた戦争と平和にかかわる近代の歴史をまとめたものです。
戦時下の宗教、とりわけ仏教・曹洞宗の動向については、すでに各種の学術論文や書籍等でさまざまな立場から報告されています。
しかし、その内容はかなり専門的で、特定の人物や時代に特化した論考はありますが、宗門の近代史全体を通じての戦争史をまとめた手ごろな読み物は、今までありませんでした。
このたびの新刊ブックレットは、当時の誌面の写真等も入れ、通史としてお読みいただけるよう配慮しました。
また、単に当時の僧侶や寺院・教団の動向を一方的に断罪するのではなく、最近の歴史研究で明らかになってきた真相等も取り入れています。過去の歴史から、現代の私たちにも学ぶべき教訓を導き出そうと努力しました。
思想信条や政治的な立場のちがいを超えて、より広く深い視点で、過去の歴史を追体験できることを願っております。
曹洞宗の人権・平和・環境の指針のうち、とくに「平和」に向けての問題を調べる際の、概説と資料集として利用ください。
さらには、管区・宗務所・教区等で開催される各種の研修と講習会のための教材としても活用可能です。
構成と目次
はじめに
凡例
第1章 明治期曹洞宗の動向
第2章 明治期軍人布教の草創期
第3章 大正期・第一次世界大戦
第4章 満洲事変と曹洞宗の動向
第5章 昭和6年~9年 反宗教運動と日本精神運動への応答
第6章 昭和11年の不敬語句削除
「諭達」とその背景
第7章 仏教界が国定教科書を削除・改訂に追い込んだ
第8章 日中全面戦争と『曹洞宗社会課時報』
第9章 アジア太平洋戦争開戦時の高揚感と宗教の総力戦
第10章 アジア太平洋戦争と戦時教団
書誌情報
▽書籍名称
曹洞宗ブックレット 宗教と人権⑩
▽表題
『宗報』にみる戦争と平和
▽発行日
2018(平成30)年12月20日
▽編集
曹洞宗人権擁護推進本部
▽発行者
鬼生田俊英
▽発行所
曹洞宗人権擁護推進本部
▽体裁 A5版 161頁 並製本
写真等画像使用
▽価格 非売品
お問い合わせと注文先
曹洞宗人権擁護推進本部
〒105―8544
東京都港区芝2‐5‐2 曹洞宗宗務庁
℡03‐3454‐3546
※「新刊資料送付の件」とお問い合わせください
非売品扱いとなりますので、ご希望の方は所定の「資料送付申請書」(曹洞禅ネット寺院専用サイトから申請様
式を入手ください)に必要事項を記入し、署名捺印のうえ郵送ください。
研修会等で大量に使用される場合には、事前に本部までご相談ください。
(人権擁護推進本部記)