【International】WFB世界仏教徒会議開催報告
11月5日から11月9日までの5日間、マロウドインターナショナルホテル成田(千葉県成田市)と、大本山總持寺を会場に公益財団法人全日本仏教会財団創立60周年記念事業「第29回WFB世界仏教徒会議・第20回WFBY世界仏教徒青年会議・第11回WBU世界仏教徒大学会議・日本大会」が開催されました。
大会の母体組織である世界仏教徒連盟(World Fellowship of Buddhists以下「WFB」)は、世界の仏教徒の交流や友好を目的に、1950(昭和25)年に設立されました。本部をタイ国バンコク市に置き、大乗・上座部の違いを越え、アジアの仏教国を中心に世界41ヵ国から約200の地域センターが加盟する世界最大の国際仏教会です。日本からは曹洞宗が加盟する全日本仏教会が参画しています。
世界仏教徒青年連盟( World Fellowship of Buddhist Youth 以下「WFBY」)とは、未来を担う青年たちの仏教に対する理解を広め、深めることを目的に結成された国際ネットワークであり、1972(昭和47)年に発足し、各国の仏教団体が加盟する国際仏教青年組織です。
日本からは、全国曹洞宗青年会が加盟する全日本仏教青年会が参画しており、日本国内唯一の地域センターとして各国の青年仏教徒と交流を深めつつ、世界平和への貢献と仏教の宣揚を目指し活動しています。
「慈悲の行動―Compassion in Action―」がテーマに掲げられた今大会では、4日間にわたる会議と、大本山總持寺において世界平和祈願法要やシンポジウムなどが行われました。マロウドインターナショナルホテル成田で行われた委員会、総会、各種会議には世界各国から地域の仏教会を代表して僧侶や仏教徒、関係者など総勢約300名が来日し、活動報告や意見交換など交流が図られました。
今大会を運営する全日本仏教会の会長は現在、曹洞宗管長大本山總持寺貫首江川辰三紫雲臺猊下がご就任されており、また釜田隆文前曹洞宗宗務総長が理事長を務めております。この機会に、日本で世界大会が行われることは、曹洞宗が日本仏教を代表する機会であるとともに、曹洞宗が各国に広く知られ、各仏教会と繋がりを持ち、国際的価値を高める大きな契機ともなりました。
開会式典では国内外の参加者が一同に会し、全員で三帰依文を日本語とパーリ語でお唱えし、日本語の導師は釜田隆文理事長が務めました。全日本仏教会会長である江川辰三紫雲臺猊下が歓迎挨拶を述べられ、会場に大きな拍手が沸きました。
会場内には、各宗派を紹介するブースが設けられ、曹洞宗は多言語で展開する禅リーフレットや坐禅の資料を設置し、参加者への周知を行いました。
9日は、会場を大本山總持寺へと移し、世界平和祈願法要や記念式典、シンポジウムが執り行われました。海外の参加者はホテルからバスで移動し大本山總持寺に到着すると、広大な境内と荘厳な伽藍、そして各宗派のゆるキャラと園児たちの歓迎に感動し、記念に写真を撮影していました。
世界平和祈願法要は午前10時より大祖堂で営まれ、海外からの参加者のほか、全日本仏教会に加盟する諸宗派の管長や宗務総長、地域仏教会の会長、近郊の宗務所長や県下宗務所管内の寺院、寺族が多数参集、参列しました。法要に続いての御垂示で江川辰三紫雲臺猊下は「『智慧と慈悲』を拠りどころとする仏教の教えが、民族や国土の違いを乗り越えて、あまねく世界に向かって、より一層展開されていくことを切に念願いたします」と述べられ、参列者は、WFBの設立理念である世界の仏教徒の交流や友好のご縁を總持寺で結ぶことができたことに感謝し、世界平和への祈りを捧げました。
式典後、大祖堂正面での記念撮影の際には、海外だけでなく日本の各宗派からの参加者も、千畳敷の大祖堂の中の広さと外から見る伽藍の大きさに驚いている姿が見られました。
三松閣1階では、全日本仏教青年会を中心として、各宗派の青年会がブースを開いて体験を交えて特色を紹介したり、キッチンカーを手配してオリジナルの精進カレーや精進ラーメンを振舞ったりするなど、おもてなしの心で歓迎と交流が図られ、会場は歓声と笑顔に包まれていました。
シンポジウムでは「智慧にもとづく希望」について、ジョアン・ハリファックス師が基調講演を行ったほか、日本の各宗派の僧侶もスピーチを行い、英語と日本語にそれぞれ同時通訳されました。ハリファックス師は曹洞宗の僧侶でもあり、終末期ケアの先駆者として医療の現場や刑務所での教誨などに焦点を当て活動し、世界各地で講演を行うなど活躍されています。
大会全体を通し、様々な特色を持った各国の団体から、多くの参加者が一同に会し、調和融合しながら進行される行事はどれも熱気に溢れていました。また、運営においても全日本仏教会を中心として、日本の各宗派が協力し、行事運営に参加し互いに交流できたことも意義深いことでありました。
また、世界仏教徒青年会議においては、世界仏教徒青年連盟WFBY会長として曹洞宗の村山博雅師が選出されました。連盟が結成されたスリランカと、本部が置かれるタイ国以外から連盟の会長が選出されるのは初めてのことであり、日本、ひいては大乗仏教圏においても初めてのこととなります。
就任に際し村山師は「世界の仏教の基本である釈尊と瞑想に最も親和性の高い日本の禅仏教への信頼と、日本仏教に対するアジア各国からの期待の表れだと受け止めている。その期待に応えるべく、日本伝統仏教の青年僧侶を代表し職務に当たる所存です。」と抱負を語っていました。
世界の仏教徒が一同に会した今大会では、最後に「慈悲の行動」のテーマのもと、環境や生活、心のケアや子どもたちの支援などについて「2018東京宣言」が発表されました。今後より一層、世界の仏教徒が結束し、お釈迦さまのみ教えを基として仏教の力を発揮し、世界平和の実現を目指していくことが宣言され、この度の世界大会は締めくくられました。 (国際課記)