野菜のしらあえ

作る修行~台所の坐禅~

野菜のしらあえ

材料

・木綿豆腐 一丁(400g)   
・干ひじき 10g
・しめじ 100g
・ごぼう  50g
・水菜 40g
・リンゴ 80g
・こんにゃく 100g
・アスパラガスの根元の方  適量
・人参の皮 適量
・ダシ2カップ分 (400ml)
A 酒 大さじ4
A みりん 大さじ3            
A 砂糖 大さじ1
B しょうゆ 大さじ1   
C 砂糖小さじ1~2 
・粒白胡麻 大さじ5

 

作り方

①木綿豆腐に重しをかけて30分ほど待ち、水を切ります。
※いったん豆腐をまな板の上に置いて5分ほど待ち、ある程度自然に水気が流れてから乾いたふきんやクッキングペーパーなどで包み、重しを載せます。豆腐の上にまな板を置くと均等に重みがかかります。水の入った2リットルペットボトルや漬物の重しなど、濡れて良い素材の重石を使います。豆腐の水をできるだけ押し出すことが重要なので、豆腐がぺちゃんこに潰れるくらいしっかりした重さが必要です。

 

②干ひじきをぬるま湯に15分ほど浸けて戻し、3センチほどの長さに切ります。
 
③しめじの石突付近だけV字型に切り取り、先端の使う方をほぐします。切り取ったV字部分から、ポロポロした根の部分だけを取り除き、密集した根元付近を薄切りにします。
 
④ごぼうの土と薄皮を金だわしなどでこすり、3センチくらいに切り、薄く短冊切りにしたあと何枚か重ねて細く切り、1~2ミリくらいの千切りにします。5分ほど多めの水に浸けてアクを抜きます。
 
⑤水菜の根元を特によく洗って水気を切り、3~5センチくらいのざく切りにします。根元の切り口部分に土が混じっていればその部分だけ薄く切って取り除き、それ以外の根の部分も薄く切って使います。
 
⑥リンゴを洗って水気を拭き、くし型に切ってからスライスします。くし形に取り除いた部分も、硬い芯や種などどうしても食に向かない部分だけを取り除き、それ以外はスライスして使います。色が変わらないように塩をほんの少し加えた水に浸けておきます。
※リンゴの赤い色を活かすために今回は皮を剥かずに使います。
 
⑦こんにゃくを薄い短冊切りにします。
 
⑧人参の皮をなるべくピーラーではなく厚めのかつらむきにして細切りにします。切り取ったヘタの周りもできる限り刻んで使います。鍋に水を入れてさっとゆでます。
 
⑨アスパラガスの根元の方の堅い部分を薄く取り除きます。皮をピーラーか包丁で厚めにそぎ、皮の部分を重ねて繊維を断ち切るために斜めに切り、むいた身の方は薄切りにします。それぞれ別の鍋に水と塩少々を入れ、柔らかくなるまでゆでます。
 
⑩水を切った②、③、④を鍋に入れ、Aを加えて強火で加熱します。沸いたらアクを取り除き、弱火に落として5分ほど煮ます。ごぼうが柔らかくなったらBの醤油を加えてさらに2分ほど加熱し、火を止めて20分ほどおいて冷まします。あら熱がとれたらざるにあけて汁気をしっかり切っておきます。
※それほど強いアクの素材は今回は使っていないことと、またアクも風味のうちなので、あまり全てのアクを取ろうとせず、大まかに取る程度に抑えます。なお煮汁は別の料理にも流用できるため、捨ててしまわずボールの上にざるを重ねて具を移します。
 
⑪すり鉢に胡麻を入れ、すりこぎ棒でよくすりつぶします。
 
⑫そのまますり鉢の上にこし網を載せ、①で水気を抜いた豆腐を載せてへらで裏ごしします。こした豆腐はすり鉢の中に落ちますが、こし網の裏側にも豆腐が残るので最後にヘラでこそぎ落とします。
※こし網の大きさに合わせて少しずつ豆腐を載せます。こし網がない場合は金属のふるい網を流用できることもあります。豆腐の水気がしっかり切れていないと、水っぽい仕上がりになってしまいます。
 
⑬すり鉢の中で、⑪の胡麻と⑫の豆腐をよくすり混ぜます。ある程度混ざったら、⑩の煮汁を大さじ2とCの砂糖を加え、豆腐がなめらかになるまでよくすりあげます。
 
⑭⑩で下味を付けた具と、⑤⑥をすり鉢に入れてあえしろとよく混ぜます。
※しっかり煮汁の水気を切ってから混ぜないと水っぽい仕上がりになってしまいます。また具が完全に冷めた状態で加えます。 通常であれば以上で完成ですが、今回は最後に⑧⑨を加えます。
 
―メモ―
裏ごしした豆腐を主体に、胡麻を隠し味として加えてあえしろとし、具材とあえた料理を「白あえ」と呼びます。また、豆腐を使わずに、すりあげた胡麻が主体のあえしろであえれば「胡麻あえ」と呼びます。
用いる具材の処理はほぼ同じ手順でも、白あえは豆腐の、胡麻あえは胡麻の風味が中心となり、料理の仕上がりや味わいはかなり異なります。白あえは豆腐によりとてもなめらかな食感が特徴ですが、常温だと傷むのが早いため、暑い時期には胡麻あえの方が向いています。
いずれの料理も、あえしろによって具材がほどよく隠れるため、野菜の切れ端やヘタなどを混ぜ込んでもわかりにくいという特徴があります。たとえば「ほうれん草のおひたし」はゆでたほうれん草をしょうゆ風味のひたし汁で浸けた料理ですが、ここに野菜の皮を刻んで加えると視覚的にも違和感が生じますし、食感的にもちぐはぐな味になってしまいます。しかし白あえや胡麻あえならばあえしろの力によって異なる性質の具材がうまく一つにまとまりやすいのです。あえものを漢字で書くと和合物。まさになごやかに混じり合って一つになるという「和合」の教えどおりに仕上がります。
豆腐の量を増やして、あえしろをたっぷりからめた白あえもクリーミーで美味しいものですが、今回はあえしろの量をあまり多くせず野菜の特徴が前面に出るように仕上げてみてください。また季節の果物を加えると良いアクセントとなります。リンゴの他に、梨、柿、みかん系などいろいろ試すのも面白いものです。